子どもが乗る車でのタバコはどうなる?【2026】東京都条例の中身と家庭のルールの作り方
目次
はじめに:本記事の前提と免責
本記事は、東京都例規集に掲載された「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」の条文(https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00004895.html)、厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。」(https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/)などの公的情報をもとに、2026 年 8 月時点の内容を第三者の立場で整理したものです。条例は都道府県・市区町村ごとに内容が異なり、改正されることもあります。お住まいの地域・お出かけ先の扱いは、必ずその自治体の公式ページでご確認ください。健康への影響に関する記述は公的機関の説明を引用する形に限っており、本記事が独自の医学的な判断や診断的な助言を示すものではありません。レンタカー・カーシェア・社用車の車内における取り扱いは各事業者の契約条件によるため、利用前に各社の公式情報でご確認ください。本記事は喫煙を推奨するものではなく、喫煙する人を非難する目的で書かれたものでもありません。20 歳未満の喫煙は「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律」により禁止されています(出典: e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/)。
まず整理:国の法律はどこまでを対象にしているか
「車の中でタバコを吸うのは法律違反ですか」という質問がよくありますが、答えは対象によって分かれます。改正健康増進法は、多数の人が利用する施設の屋内を原則禁煙とする法律です。学校・病院・児童福祉施設・行政機関などの第一種施設は敷地内禁煙となり、屋内に喫煙室等を設けることができません。飲食店・事務所・ホテルなどの第二種施設は屋内が原則禁煙で、喫煙できるのは要件を満たした喫煙専用室・加熱式たばこ専用喫煙室・喫煙可能室・喫煙目的室に限られます(出典: 厚生労働省 https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/point/ , https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/smoking_room/)。
このうち車に関係するのが、旅客運送事業自動車と航空機の扱いです。バス・タクシー・航空機は、車内・機内に喫煙室等の設備を設けることができないとされています(出典: 厚生労働省 https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/point/)。一方で、自家用車の車内は、この法律が直接規制している対象ではありません。したがって、自家用車の中での喫煙については、国の法律ではなく、自治体の条例と家庭内の取り決めの話になります。
東京都子どもを受動喫煙から守る条例は何を定めているか
東京都には「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」があり、平成 30 年(2018 年)4 月 1 日から施行されています。子どもの生命及び健康を受動喫煙の悪影響から保護するための措置を講ずることを目的とした条例です(出典: 東京都例規集 https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00004895.html)。関係する条文は次のとおりです。
- 第 6 条(家庭等における受動喫煙防止等): 「保護者は、家庭等において、子どもの受動喫煙防止に努めなければならない。」「喫煙をしようとする者は、家庭等において、子どもと同室の空間で喫煙をしないよう努めなければならない。」
- 第 7 条(家庭等の外における受動喫煙防止): 「保護者は、家庭等の外においても、受動喫煙を防止する措置が講じられていない施設又は喫煙専用室その他の喫煙の用に供する場所に、子どもを立ち入らせないよう努めなければならない。」
- 第 8 条(自動車内における喫煙制限): 「喫煙をしようとする者は、子どもが同乗している自動車内において、喫煙をしないよう努めなければならない。」
- 条例全体を通して、罰則の章・条は置かれていません(2026 年 8 月 18 日に東京都例規集の本文で確認)
読み方で押さえておきたい点が 2 つあります。ひとつは、第 8 条の義務の相手が「保護者」ではなく「喫煙をしようとする者」だという点です。つまり、親であるかどうかにかかわらず、子どもが同乗している車の中で吸おうとする人すべてが対象になります。祖父母の車に子どもを乗せてもらう場面や、知人の車に同乗する場面も、条文の文言のうえでは同じ扱いです。もうひとつは、第 6 条が「同室の空間」という言い方をしている点で、家庭内でも部屋を分けるという考え方が前提になっていることが読み取れます。
罰則がないルールを、どう受け止めるか
この条例には罰則がありません。そのため「守らなくてもいいのか」と受け取られることがありますが、実務的にはむしろ逆の使い方ができます。罰則がないということは、取り締まりの話ではなく、家族や周囲の人どうしで取り決めをつくるための共通の土台として使える、ということです。「都の条例でもこう書かれているから、うちでもそうしよう」と持ち出せば、個人の好みの押し付け合いになりにくくなります。
逆に、条例を持ち出して相手を追い詰める使い方は避けたほうが結果的にうまくいきます。努力義務である以上、「違反だ」という言い方は正確ではありませんし、言われた側は身構えます。「条例にもこう書いてあるので、乗る前に決めておきたい」という切り出し方のほうが、話が前に進みます。
他の自治体はどうなっているか(調べ方)
子どもや車内の喫煙について条例で規定を置いている自治体は、東京都だけではありません。たとえば兵庫県の受動喫煙の防止等に関する条例には、20 歳未満の者および妊婦と同乗する自動車の車内における喫煙について規定が置かれています(出典: 兵庫県 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf17/zyudoukituenkaiseizyourei.html)。ただし、規定の形式(禁止か努力義務か)、適用範囲、罰則の有無は条例ごとに異なります。本記事では個々の条例の適用関係を断定しません。
- 自治体名 +「受動喫煙防止条例」で公式サイトを検索し、県・市区町村の両方を確認する(都道府県条例と市区町村条例が重なっている地域があります)
- 条文そのものは各自治体の例規集で読める場合が多く、要約ページより正確です
- 「努めなければならない」と書かれていれば努力義務、「してはならない」+過料規定があれば罰則付き、と条文の語尾で見分けられます
- 施行日と最終改正日を必ず確認する。解説記事は古い内容のまま残っていることがあります
- 判断に迷う場合は、その自治体の保健所・健康づくり担当課に問い合わせるのが確実です
バス・タクシー・レンタカーはどう違うか
バス・タクシーなどの旅客運送事業自動車と航空機は、改正健康増進法により車内・機内に喫煙室等の設備を設けることができないとされています(出典: 厚生労働省 https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/point/)。子どもを連れて乗る場面では、この点は法律で担保されていると考えて差し支えありません。
レンタカー・カーシェアについては、事業者が利用規約やハウスルールで車内禁煙を定めている場合があり、違反時の清掃費用等の取り扱いも各社で異なります。本記事では個別事業者の条件を断定しません。予約前に各社の公式情報でご確認ください。なお、加熱式たばこ・電子たばこの扱いも事業者によって異なることがあるため、あわせて確認しておくと安心です。
車内に残るにおいと残留物質の話
車の中は空間が狭く、シート・天井の内張り・カーペットなど布地が多いため、においの残り方が家の中とは違って感じられることがあります。この「煙が消えた後に残る成分」については、サードハンドスモーク(三次喫煙・残留受動喫煙)という言葉で公的資料が説明しています。柏市の啓発資料では「タバコは煙が消えた後でもその成分がその場に残り、有害物質を放出し続け、それによって健康被害を及ぼすこと」と説明され、壁・カーテン・ソファー・クッション・カーペット・床、および喫煙者の髪の毛・手指・衣服・呼気に成分が付着するとされています(出典: 柏市 https://www.city.kashiwa.lg.jp/documents/3293/handsmork.pdf)。同資料では「喫煙後約 40 分間は、吐く息にもタバコの成分が大量に排出され、その後も微量ながら排出され続けます」とも説明されています。
これらはいずれも公的資料の記述であり、本記事が独自に医学的な判断を加えたものではありません。詳しくは サードハンドスモークの解説記事 にまとめています。車を手放すときや家族で共用するときにも関わる話なので、掃除や換気の運用を決めるときの参考にしてください。妊娠中の同乗については 妊娠中の受動喫煙の記事 も合わせてご覧ください。
ドライブの段取りで解決する:休憩と喫煙場所の位置
「車内では吸わない」というルールが守られなくなる典型的な場面は、渋滞・長距離・夜間・悪天候です。次の休憩がいつになるか分からない状態が続くと、その場しのぎになりやすくなります。逆に言えば、休憩の見通しが立っていれば、ルールはかなり守りやすくなります。
- 出発前に、休憩ポイントを 2〜3 か所決めておく。1 か所目が混んでいたときに探し回らずに済みます
- 休憩地点の屋外に指定の喫煙場所があるかを事前に確認しておく。位置が分かっていれば、降りてから探す時間がなくなります
- 子どもを連れて降りる導線と、喫煙場所の位置関係を確認しておく。トイレやベビールームの近くを避けられる場合があります
- 喫煙場所へ行っている間、車内の窓を開けるかどうかまで決めておくと、戻ったときのやり取りが減ります
- 20 歳未満は、喫煙を目的としない場合であっても喫煙エリアへ一切立ち入れません(出典: 厚生労働省 https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/point/)。子どもを喫煙場所の近くで待たせない段取りが必要です
- 路上喫煙を制限する条例がある地域では、施設の外に出て吸うときに区域の指定を確認する。対象区域・金額・施行日は自治体ごとに異なります
休憩地点の周辺で使える指定の喫煙場所は モットスイタイの喫煙所マップ で事前に探せます。「車内では吸わない」という取り決めは、代わりの行き先が決まっていて初めて現実的になります。自治体ごとの路上喫煙の扱いは 路上喫煙の過料まとめ、家族との話の切り出し方は 家族に「タバコを控えてほしい」を伝える記事 をご覧ください。
家族で決めておくと揉めにくい項目
車内のルールは、抽象的な約束ではなく場面ごとの取り決めにすると守りやすくなります。「子どもが乗っているときは吸わない」だけだと、休憩中に子どもが車内で寝ている場合や、荷物だけ積んで一人で運転する場合の扱いが曖昧になります。誰が決めたかではなく、乗る人全員で一度決めておくのが、いちばん揉めにくい形です。
祖父母の車や知人の車に乗せてもらう場面では、乗る前に一言伝えておくのが現実的です。乗ってから言うと、その場で相手に選択肢がありません。「途中で休憩を入れてもらえると助かります」という言い方であれば、相手も準備ができます。東京都の条例のように、公的なルールが同じ趣旨を書いていることを添えると、個人的なお願いではなくなるため角が立ちにくくなります。
子どもが乗る車のルールを家族で決める 5 ステップ
条例の内容を確認したうえで、責め合いにならない形で車内の取り決めをつくり、実際に守れる段取りに落とし込む手順。
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ステップ 1
お住まいの自治体の条例を確認する
自治体名と「受動喫煙防止条例」で公式サイトを検索し、都道府県と市区町村の両方を確認します。条文の語尾が「努めなければならない」なら努力義務、「してはならない」+過料規定があれば罰則付きと見分けられます。
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ステップ 2
条例の文言を共通の土台にして切り出す
個人的なお願いとしてではなく、「都の条例にもこう書かれているので」という形で持ち出します。相手を違反者として責めるのではなく、乗る前に決めておきたいという相談の形にすると、話が前に進みやすくなります。
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ステップ 3
場面ごとに具体化する
「子どもが乗っているときは吸わない」だけでなく、休憩中に子どもが車内で寝ている場合、一人で運転する場合、祖父母や知人の車に乗せてもらう場合まで、場面ごとに扱いを決めておくと後で揉めません。
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ステップ 4
休憩ポイントと喫煙場所を先に調べる
出発前に休憩ポイントを 2〜3 か所決め、その周辺に指定の喫煙場所があるかを地図で確認します。行き先が決まっていないルールは、渋滞や悪天候のときに崩れやすくなります。
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ステップ 5
降りたあとの導線も決めておく
20 歳未満は喫煙エリアに立ち入れないため、子どもを連れて降りる導線と喫煙場所の位置関係を確認しておきます。トイレやベビールームへの動線と重ならないルートを選べる場合があります。
よくある質問
Q.子どもが乗っている車の中でタバコを吸うのは法律違反ですか?
A.国の改正健康増進法は施設の屋内を対象とした法律で、自家用車の車内は直接の規制対象ではありません(出典: 厚生労働省 https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/point/)。ただし東京都には「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」があり、第 8 条で「喫煙をしようとする者は、子どもが同乗している自動車内において、喫煙をしないよう努めなければならない。」と定められています(出典: 東京都例規集 https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00004895.html)。努力義務であり、条例に罰則の規定は置かれていません。
Q.東京都子どもを受動喫煙から守る条例に罰則はありますか?
A.ありません。同条例の各条文は「努めなければならない」という努力義務の形式で書かれており、条例全体に罰則の章・条は置かれていません(2026 年 8 月 18 日に東京都例規集の本文で確認。出典: https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00004895.html)。施行は平成 30 年(2018 年)4 月 1 日です。罰則がないぶん、家庭や親族間で取り決めをつくる際の共通の土台として使いやすい規定です。
Q.東京都以外の地域にも同じような条例はありますか?
A.自治体によって規定の有無と内容が異なります。たとえば兵庫県の受動喫煙の防止等に関する条例には、20 歳未満の者および妊婦と同乗する自動車の車内における喫煙について規定が置かれています(出典: 兵庫県 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf17/zyudoukituenkaiseizyourei.html)。規定の形式・適用範囲・罰則の有無は条例ごとに異なるため、お住まいの地域や行き先の扱いは、その自治体の公式ページや例規集でご確認ください。
Q.バスやタクシーの車内はどうなっていますか?
A.改正健康増進法により、バス・タクシーなどの旅客運送事業自動車と航空機は、車内・機内に喫煙室等の設備を設けることができないとされています(出典: 厚生労働省 https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/point/)。レンタカーやカーシェアについては、事業者が利用規約で車内禁煙を定めている場合があり、条件は各社で異なります。予約前に各社の公式情報でご確認ください。
Q.「車内では吸わない」というルールを守りやすくするコツはありますか?
A.禁止だけを決めるより、代わりの行き先を一緒に決めておくほうが続きます。出発前に休憩ポイントを 2〜3 か所決め、その周辺に指定の喫煙場所があるかを地図で確認しておくと、渋滞や悪天候のときにその場しのぎになりにくくなります。なお 20 歳未満は喫煙エリアへ立ち入れないため、子どもを喫煙場所の近くで待たせない導線も一緒に考えておくと安心です。
